心のこもった清掃
-小さな志(こころざし)を見せてもらいました-
-校長室は特別なところです。いろいろなお客様がいらっしゃるところです。
ですから、校長室に入る時には、いきなりドアを開けるのではなく、『コン、コン』と2回ノックして中から「どうぞ」という言葉が聞こえたら
「失礼します。〇年□組の〇〇です。暗唱を聞いていただきに来ました。」と言って入っていらっしゃい。-と「小さな紳士・淑女」を目指す子供たちに言っています。少しずつ、校長室を訪れる子供たちの「小さな紳士・淑女」ぶりが増してきたように思うこの頃です。
開校記念日に、心を震わされるような言葉に出逢いました。
それは、校長室掃除担当の6年生の男の子から、ボソッと発せられました。
その日その男の子は、昼休みの半ば過ぎから、校長室に何度か顔を出していました。暗唱を聞かせに来ている子供たちがいることがわかると、すっと戻っていきます。2~3回そうしたことを繰り返し、最後は校長室に入って暗唱が終わるのを待っていました。
暗唱を聞き終えた後、不思議に思って「今日はどうしたの?何度か顔を出してくれていたけど・・・」と尋ねました。その言葉と出逢ったのは、その時でした。
「校長先生、清掃当番が今日で変わります。ぼくが校長室掃除ができるのは今日が最後です。今までも一生懸命やってきましたが、今日は特に心を込めて掃除しようと思って、少し早く来ました。」
持ってきた雑巾でテーブルを拭きながら、つぶやくようにそう言ったのです。
私は言葉に詰まってしまいました。
深谷小学校の最上級生として身に付けてほしい「心」を身に付けていると思いました。私は「周りのために自分にできることを精一杯やる」ということが「志(こころざし)」につながると考えています。彼は「小さな志(こころざし)」を身に付けていると感じました。そして志を行動に結びつける力も身に付けています。
もちろん、深谷小学校の最上級生として身に付けてほしい「心」の全てを身に付けているわけではありません。しかし、その大切な部分を確かに身に付けていると思いました。そして、身に付けた「小さな志」から更に大きは「志」に広げていってくれると確信しています。
清掃開始の校内放送が耳に届いたのは、こうした感慨を味わった後でした。