「近づいて見る」と「遠ざかって見る」 -実物とは違っても偽物ではありません- 深谷小学校の各階をつなぐ階段、
その踊り場には「深小っ子ギャラリー」というスペースがあります。
各学年の子供たちの授業の中で生まれた作品が、
額に入れて飾られています。
私が校舎内を見て回る時のお気に入りの場所です。
「額に入れる」という扱いが、
作品としての価値を際立たせてくれます。
今、東階段の3年生の「深小っ子ギャラリー」には、
この時期らしく紫陽花を描いた貼り絵の作品が飾られています。
遠目に見ると、紫陽花らしさがよく伝わる作品です。
ただ近づいて見ると、
その細かな部分は実物とは全く似ていないもので創られています。
校長室前に飾ってもらった実物の紫陽花を見つめてみました。
実物は、近づいてよく見ると、花びらに見えるところは実は「ガク」で、
本当の花は真ん中の本当に小さな部分だということが分かります。
実物をそのままに「写す」ことと、細かく見ると実物とは違っていても、
見る者の抱くイメージと重なるように「描く」こととは異なるのだと思います。
芸術は、「写す」よりも「描く」であることが多いと思います。
実物とは違うからといって「偽物」であるとはいえません。
ピカソの描いた作品のように、
実物とは違う「本物」というのは確かにあるのですね。
「深小っ子ギャラリー」では、いろいろな「本物」に出逢えます