7月5日(火)、昨日の猛暑が嘘のような涼しい朝、
体育館で7月の全校朝会を開きました。
講話による校長の4回目の授業。
今月は、昨年度から取り組み始めた、
毎週水曜日の「もくもく清掃(無言清掃)」について、
以前見せてもらった中学校での無言清掃の取組を紹介しながら、
その意味について子供たちに考えてもらう機会にしようと考えました。
先生から言われるからしゃべらないというだけでなく、
しゃべらないで清掃に取り組む意味を子供たち自身が考え・理解して
明日の「もくもく清掃」に取り組んでもらえたら、
今回の校長の授業は大成功なのですが、結果は如何に?
とはいえ、表向きの課題は、
今回も、講話全体を聞いて題名をつけることにしてあります。
今朝は、私が3年前に見てきた、すごい掃除をする中学校の話をします。
その中学校の掃除の時間は、たくさんの中学生がいるのに、話し声が全く聞こえません。みんな膝をつき、ただ廊下を見て、黙々と雑巾で磨いています。汚れているところを見つけると、雑巾を小さくつまんで汚れを磨きとってしまいます。
磨いているのは廊下だけではありません。トイレの、便器も床も磨いています。
掃除が終わったベランダを見に行きました。ゴミも土ぼこりも全くありません。花が植えられたプランターをずらしてみましたが、そこにも何もありません。ベランダのコンクリートの割れ目の間さえ、きれいに掃かれて何もたまっていません。使われた雑巾がきれいに洗われてきちんと並べて干されています。よく見ると、使い込まれてところどころ薄くなって穴があきそうになっていました。

掃除を終わらせた中学生が反省会で話しているのを聞きました。一人一人が、その日の掃除で、どんなことに気づき、どう考えて、何をしたかを発表していました。掃除をする床や便器や庭と向き合い、どこがどんなふうに汚れていて、どうやってきれいにしようか考え、考えたことをやっていたのです。掃除の時間は、友達と話す時間ではなく、きれいにする場所をしっかりと見て、きれいにするためにできることを考えてきれいにする時間です。あたりまえのことですが、なかなかできることではありません。
これが、あの中学校のその時の生徒会の目指していたことです。「ぼんじてってい(凡事徹底)」と読みます。「あたりまえのことを とことんやりきる」という意味です。掃除の時間は、掃除する場所をきれいにする時間です。あの中学校の中学生は、そういうあたりまえのことを、とことんやりきるために、一言も話さず自分で考えながら掃除していたのです。
あの中学生が黙々と磨いていた校舎は、1年後に取り壊されました。もうすぐ壊されることが分かっていて、最後まできれいに磨き上げていたのです。
深谷小学校の開校記念日に、今の校舎が建つ前にあった木造校舎の写真をホームページに載せました。先週の金曜日に渡した学校だよりにも載せました。この写真です。

深谷小学校でも、壊されることが分かっていた木造校舎の廊下が、ピカピカに磨かれていたことが分かる写真がありました。磨いていたのはたぶん、皆さんのお父さんやお母さんと同じくらいの、深谷小学校の先輩たちです。あのすごい掃除をする中学生のように、大好きな学校の、お世話になった校舎のために、今できることを、考え、探しながら掃除をしていたのです。
深谷小学校では、去年から毎週水曜日は「もくもく清掃」をしています。明日は水曜日、「もくもく清掃」の日です。今の深谷小学校の「小さな紳士・淑女」のみなさんが、今お世話になっている校舎と黙って向き合い、どんなことに気づき、どんなことを考え、どんなふうにきれいにしてくれるでしょうか。
これで7月の全校朝会のお話を終わりにします。