子供たちの心に蒔く言葉という種子
-いろいろな暗唱-校長室には、今いろいろな暗唱を聞かせにたくさんの子供たちが来てくれています

毎月のChallenge課題に加え、2年生は先日お知らせしたようにかけ算九九を、また先週3年生以上で実施した校内かるた大会で使った「彩の国21世紀郷土かるた」も、暗唱にチャレンジしてくれています。

かけ算九九は、すぐに算数の授業で役立ちます。これが頭に入っていないとかけ算も割り算もできるようになるには大変な困難を伴うことになります。
けれど、私が毎月示す『論語』やChallenge課題、そして「彩の国21世紀郷土かるた」は、覚えていなくても特段困るということはありません。それでも深谷小学校が子供たちに暗唱に挑戦させているのは、日常生活だけでなく「言葉」を獲得させる機会をつくっていきたい、それも少しでも主体的に獲得させていきたいと考えているからです。
「言葉」には意味があります。「言葉」を獲得するということは、その「言葉」がもつ意味につながる経験を獲得することに近いものがあります。子供たちがまだ経験していないことに関係する言葉を、脳細胞が非常に活発でどんどん暗記できる小学生の時期に頭に入れておいてあげたいのです。人間は知っていることだけでなく、見たことや聞いたことのあることに興味や関心をもちやすい生き物です。たとえ今意味は分からなくても暗唱し知っておくことで、本当にその言葉に出会うべき時にピッと反応できると考えています。今の暗唱は、その時のために子供たちの心や頭の中に「言葉」という種を蒔いておくことなのです。
今蒔いた種が芽を出し大きく育ち豊かな実りをもたらしてくれるのは、いつなのでしょうか

その瞬間に立ち会えることはおそらくないと思いますが、その時に、校長室やそれぞれのご家庭で暗唱した風景を、ちらっとでも思い出してもらえたら、こんな幸せなことはありません

今暗唱させている『行為の意味』の最後にある「あたたかい心があたたかい行為になり やさしい思いがやさしい行為になるとき <心>も<思い>も初めて美しく生きる ・・・それは 人が人として生きることだ」という言葉を、小さな紳士・淑女たちが瞳をキラキラ輝かせて暗唱し聞かせてくれるのを間近で見ていると、いつの日かこの子供たちに来る、この言葉に出会うべき時のことが思われて、目頭が熱くなることがあるのです。
№10
