3冊の絵本から
「ぐりとぐら」 なかがわ りえこ

ぼくらの なまえは ぐりとぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうりすること たべること
ぐり ぐら ぐり ぐら
「泣いた赤鬼」 浜田 廣介
心のやさしい鬼のうちです。
どなたでもおいでください。
おいしいお菓子がございます。
お茶も沸かしてございます。
「わすれられないおくりもの」 スーザン・バーレイ

アナグマはかしこくて、
いつもみんなに
たよりにされています。
こまっている友だちは、
だれでも、きっと助けてあげるのです。
2月のチャレンジ課題は、これまでとは趣向を変え、絵本から言葉を選びました。低学年には親近感のあるものであるし、中・高学年には懐かしさがあるのではないかと考えたからです。そして、絵本には、詩と同じようなリズムがあるものが多いので、リズムを意識した暗唱をさせてみようと考えたからです。
選んだ絵本は3冊です。それぞれ異なるリズムと雰囲気をもったものを並べてみました。お母さん・お父さん、おじいちゃん・おばあちゃんも、小さい頃に自分で読んだり、大人になってお子さん・お孫さんに読み聞かせをしてあげたりされている本ではないでしょうか。ご家庭でお子さんと一緒に音読していただけると嬉しいです。
さて、1冊目は「ぐりとぐら」です。課題はその冒頭です。8音と5音の繰り返しのリズムで、歌うように暗唱してほしいと期待しています。
2冊目は「泣いた赤鬼」です。2月なので節分にからませて鬼が出てくる絵本を選びました。最近のCMで鬼は怖いもの、悪いものであるという固定的なイメージが少し変わってきています。「泣いた赤鬼」に登場する赤鬼も青鬼もとても優しい鬼です。節分でも悪者の鬼ですが、違う見方もしてほしいと思い選びました。「おいしいお菓子がございます。お茶もわかしてございます。」というところで、「が」と「も」の使い分けを1年生から感覚としてもたせておきたい。「ございます」という敬語の使い方とそこに込められた赤鬼の気持ちも暗唱しながら感じ取ってもらえるといいなぁと思っています。
3冊目は「わすれられないおくりもの」です。今は「物」が溢れている時代で、形のないものはなかなかその価値を見出されることは難しくなっているような気がします。子供たちも「おくりもの」と聞けば「どんな物かな?」と予想することでしょう。しかし、本当に「わすれられないおくりもの」というのは、それが「形」ある「物」であったとしても、むしろ、その「物」に対してではなく、それをもらった背景、つまり、その時の様子や添えられたちょっとした言葉から感じた、贈ってくれた人の「心」ではないかと思うのです。冒頭の「アナグマはかしこくて」という言葉が私のお気に入りです。「かしこさ」とは単に「頭がよい」というのではないのですよね。「小さな紳士・淑女」に大切な資質の一つが、この「かしこさ」だと思っているからです。
今月の一番乗りは4年生の女子でした。
今月は課題を示したのが2日になってしまいましたが、彼女が暗唱を聞かせてくれたのはその翌日、2月3日の節分の朝でした。わたしの心の中の赤鬼も泣いて喜んでいました