小さな「お願い」
7月11日の昼休みでした。校長室で子供たちの暗唱を聞き終えた私のところに、一人の男の子がやってきました。
そして、「校長先生にお願いがあります。」と言いました。
私はちょっと面食らって、「なんでもきけるわけではありませんよ。私にできることですか?」と聞き返すと、「はい、大丈夫です!」の言葉の後に次のように続けました。
「今日の帰りの会で、ぼくはクラスで提案をすることになっています。一生懸命考えてきました。頑張って発表するので、校長先生、見に来てください。」
そう話す彼の瞳は、キラキラ輝いているように見えました。
私は、彼の小さな「お願い」をきくことにしました。
帰りの会の時間になる少し前に、彼のクラスの廊下に行きました。
中に入ることはせず、ドアのガラスのところからクラスの様子をのぞきました。
目が合うと、彼は小さく手を振り、意を決したようにまっすぐに手を挙げ、発表しました。
ドアの外からは、彼の発表は聞こえませんでしたが、きちんとした発表であったように見えました。小さな「お願い」は、私にとっては、小さくても素敵なプレゼントになりました。