｢振り返り」の大切さ　
－習っていないことでも、自分で考えてできるようにするために－
今年度最後の全校朝会でした。６つの学年が一堂に揃う最後の全校朝会で、顔を合わせて話ができたことが嬉しかったです。１月･２月と続けてインフルエンザの流行に配慮して放送による朝会としたので、当たり前のようにとらえていた〝顔を合わせて話をする〟ことの価値を再確認することができました。
３月の全校朝会は、４日の｢子どもの暗唱を楽しむ会」に出場した３年生有志１９名による暗唱披露から始まりました。１０００人を超える聴衆を前に堂々と暗唱した経験が生きているのでしょう、全校児童を前にしても大きな声で朗々と『論語』（分かりやすい解釈つき〉と｢寿限無｣を暗唱してくれ、大きな拍手をもらっていました
さて、３月の校長講話は、３月１１日で６年が経過する東日本大震災を話題にし、一人一人が自分で考え判断し行動できることの大切さを話しました。そして子供たちの日常に話を展開し、しっかりと｢振り返り｣をし、習ったこと･できるようになったことを自覚し、それをもとにして習っていないこともできるようにする学びのススメについて、次のように話しました。
　おはようございます。６年生が小学校に入学する直前、１年生が生まれた頃、３月１１日に東日本大震災という大きな大きな地震がありました。ここ深谷だけでなく日本のほとんどの所では、その大震災がなかったかのような生活をしています。しかし、福島県や宮城県では、住んでいた家や町に戻れない方が、今でもたくさんいます。
深谷小学校では、１月に避難訓練をしました。休み時間に行った訓練だったので、先生に言われたとおりではなく、自分で考えて行動しなければなりませんでした。ちゃんと命を守る行動がとれるか、という心配をしていたのですが、校舎の中にいた人は机などの下に隠れ、校庭で遊んでいた人は建物や大きな木から離れて、命を守る行動ができました。１年生も自分で考えてできました。おしゃべりの声が聞こえず、落ち着いて集まれたことに感心しました。
でも、本当に校舎がガラガラと音を立てて揺れ、物が落ちてきたり木が倒れてきたりしても、訓練の時のように落ち着いて考え・行動できるかは、心配です。知ることや分かることがまず大切です。でもそれで終わりにしてはダメです。
もうすぐ、平成２８年度が終わります。１年生から５年生までは一つずつ学年が上がり、６年生は卒業し中学生となります。先生に教えていただき、この１年間で分かるようになったことやできるようになったことがたくさんありますね。でも、いくら深谷小学校の先生方でも、世の中のことを全て教えることはできません。ですから、みなさんは、まだ習っていないことでも、先生から教えていただいたことをもとに、自分で考えてできるようにしなければなりません。本当の「勉強」というのはそういうことです。そういう「勉強」をすることが、みなさんの「こころざし」にも「思いやり」にもつながるのです。
深谷小学校では、授業の終わりに、その授業で何を勉強したのか・何ができるようになったのか、「振り返り」をしています。習っていないことでも、自分で考えてできるようにするためには、何を習って・何ができるようになったのかを分かっていることが大切だからです。
６年生は卒業まで今日を入れてあと１２日、５年生から１年生は修了式まであと１３日です。平成２８年度を長い授業だとすると、今がその「振り返り」のときです。深谷小学校の勉強は、「振り返り」をして、「深く考え」、「やれる」ようにする勉強です。４月の『論語』を覚えていますか？「子曰く、学びて時にこれを習う、また説ばしからずや」でしたね。しっかり「習い」できるようになりましたか？習ったこと・できるようになったことの「振り返り」ができた人に、校長先生の赤い判子を押した「修了証」を「通信表」と一緒に渡します。６年生にはそれに加えて卒業証書を渡します。赤い判子のある修了証や卒業証書をもらえるように、しっかりとした「振り返り」をしましょう。

これで、３月の全校朝会のお話を終わりにします。