地域の方々とのふれあいの中で・・・ 7月30日(土)は深谷祭りの2日目でした。
前日深谷小学校の前を通った山車で太鼓や鐘をたたいていた子供たちが、地域の方々にいろいろと教えていただき、支えていただきながら、一緒にお祭りの中で輝いていました
暑かった30日ですが、もっとも暑くなる昼間の時間帯は、お囃子はお休みの時間。子供たちは各自治会館などで、地域の方々と一緒に食事をとったりくつろいだりしていました。ここでは、いつも学校で見せる表情と同じ穏やかで子供らしいものでした。それは、街にくりだした山車を引いているときも同じようでした。
ところが、山車に乗って太鼓や鐘をたたいているときの表情は一変。キリッと凛々しく、急に大人っぽい顔になっていて驚きました。山車という舞台に上がり、お祭りの本番という状況の中で、子供たちの心の中のスイッチが入るのでしょうか。
見上げている他の子供たちもリズムに合わせて手を動かし練習しています。まだ山車に乗れない小さな子供たちに聞いてみると、「私も3年生になったらやるの!」とあこがれの気持ちをもって見上げているようでした。
中山道が駅前通が交差するところでのたたき合い。周りの音やリズムに惑わされず自分たちのお囃子を続けるために、仲間の音を確かめながら太鼓や鐘をたたき続けることは難しいと思います。表情からも真剣さが増していることがわかりました。聞いている私の方も、最初は無秩序な音の集合のようにしか聞こえなかったのですが、聞いているうちに、それぞれの山車から発せられるそれぞれのお囃子を区別できるようになり、全体で繰り広げる協奏曲のように思えてきました。
夜の帳が降りてくる中で、駅前のお祭り広場に集まった13の山車。それぞれがそれぞれの個性を誇らしく主張しながら奏でる強烈なたたき合い。その自己主張が全体としての調和を生み出している様子は、これからの学校や社会が目指す方向でもあると感じました。
昼の休憩を取っている時間の中で、地域の方から伺った言葉が心に残っています。
「夏のほんの短い間だけど、子供も大人も一緒に夢中になったこと、その中で響かせたお囃子は、きっと子供の中にしっかりと刻まれていくと期待しています。大人になっても、もしかして地域を離れても、きっと夏になると思い出して、深谷祭りに顔を出してくれたり、今度はその時々の子供たちに教え一緒に夢中になる、そんなつながりを創っていきたいんです。」
人は自分の中にアイデンティティーをもつことで、自己を確立していくと思っています。アイデンティティーは一つではないと思います。学校も地域の方々と力を合わせ、深谷小学校の子供たち一人一人のアイデンティティーを創っていく取組を、進めていきたいと考えています。