昔、国語の教科書に「ひと声」という母馬アオと子馬ランの話があったように思う。確か、沼にはまってしまって抜け出せなくなっていた母馬アオが子馬のランの「ひと声」のいななきによって、最後の力を振り絞り、沼から脱出した話だったと記憶している。
そのひと声とは、ちょっと違うが、過日4年生の教室で聞いた「ひと声」に感慨深さがあった。担任の先生の授業中にお邪魔したところ、A君が「大きなハチが校庭にいた。」と言い出した。「足長バチじゃない?どんなハチ?」と尋ねると、「オレンジと黒い大きなハチ。」との答え。みんなが、「それはオオスズメバチだ。」と口々に言った。「そりゃ、大変だ。どこにいた?」そんな会話をしていると、B君が「校長先生に似たハチがいた。」と言い出した。面白くなってしまいB君に尋ねた。「どんなハチだった?ちょっと狂暴そうなハチ?」しばらくB君は考えていたが「女王バチ」と答えた。さすがに女王バチはないだろと思って、笑っていたら、C君が「女王バチはハチを育てているけど、校長先生は未来の子供を育てているんだよ。」と言った。びっくりした、へえ、すごいこと言ってくれるんだと思った。子供の「ひと声」に心をほっこりとさせられることは多いが、このC君の「ひと声」は胸にジーーンときた。