深谷といえば、何を思い浮かべるでしょう。多くの人は、「青天を衝け」の主人公、日本経済の父と言われる「渋沢栄一翁」、それとも、「武蔵武士の鑑 畠山重忠公」あるいは、地元名産の「深谷ネギ」や人気のゆるキャラ「ふっかちゃん」など。
いずれにせよ、ここ数年、深谷という文字をメディアで目にする機会が増えてきているように感じます。県北の地に位置する人口14万余の深谷市が、なぜここまで世間の注目を集めているのでしょう。そこには、深谷に生まれ、深谷で育った人たちの「わが郷土深谷」に対する熱い思いが根底にあるように思います。深谷の地で人々の根底に流れている精神、それは「立志と忠恕、そして支え合い」です。これは、「渋沢栄一翁」が生涯貫いた生き方そのものであり、その心を受け継いだ教育が各学校で実践されています。
例えば、「深谷の子 6つの誓い」の取組があります。子供たちの望ましい習慣形成を図るために、立志の精神(夢とこころざし)として3項目。忠恕の心(まごころと思いやり)として3項目、あわせて6つの誓いを立て、日々実践していくものです。今年度は、こころざしをもち、夢の実現に向かって努力を続けていくことの大切さを、深谷市出身の金メダリスト村岡桃佳選手が子供たちにビデオメッセージで語ってくれました。他にも深谷市出身のパラアスリートとして、陸上競技の高桑早生選手や小久保寛太選手がいて、子供たちに夢を与え、チャレンジすることの素晴らしさを身をもって教えてくれています。
その他にも先日実施した「渋沢翁 語らいの日」の取組、11/11の命日に栄一翁に関する講話や学級で栄一翁の生き方や考え方を学ぶ授業、そして栄一翁がこよなく愛した郷土料理である煮ぼうとう給食を実施し、栄一翁のことを語りひたる一日としています。
こうした中、深谷市内の小中学生に意識調査を行った結果、郷土深谷に対する意識は高く、「深谷市が好きですか。」という質問に対する肯定的評価が、小学生84%中学生75%。また、「深谷市に住んでいることや学んでいることを誇りに思いますか。」という質問への肯定的評価は、小学生71%・中学生約59%であることがわかりました。この結果は、全国学力・学習状況調査における「今住んでいる地域の行事に参加している。」という質問においても、肯定的評価が、小学生65%・中学生77%となっており、国や県の数値を10%以上、上回っています。
「栄一翁や重忠公など歴史的な偉人、ふっかちゃん、深谷ネギ、七夕祭りや深谷祭り、煮ぼうとう、新鮮な野菜、東京駅の深谷レンガ」など、これは子供たちが考える深谷の自慢ですが、この回答の中に、「平和、親切な人がたくさんいる」という回答も見受けられました。深谷にとって本当に大切なことを子供たちも感じていてくれていると思うとうれしくなります。
今の深谷市のふるさと教育の姿を深谷に関わってきた多くの先人たちも目を細めて優しく見守ってくれているに違いありません。